転職するのは30代前半まで、と良く言われます。
30代後半を過ぎると求人数もグッと減り、転職後の収入も落ちる一方と言われています。
こう考えると、40代で転職するのは難しそうですね。
でも、それは一般論。
最大公約数でしかありません。
日本には420万もの会社があります。その内大企業でも1万社もあるんです。こんなに会社があるんですから、40代で転職ができないわけがありません。
こういう最大公約数の風潮があるから表に出てこないだけで、実は企業は40代の人材を必要としているんです。
その理由を考えてみたいと思います。
40代の転職求人を出す背景
40代転職者を欲しい事情
40代を求める背景
- 団塊の世代が定年退職でいなくなる
- IT、AIなどの先端技術
- グローバル化で海外との競争が激化
- 新しい仕事のやり方を構築する必要性
- 事業スピードを速める必要性
日本企業が現在直面している課題は、市場の激変にスピーディに対応しなければいけないことです。
デフレ化で人件費圧縮してきた企業
バブル崩壊後デフレ脱却の道筋が見えなかったこれまで数十年間は、多くの日本企業は利益を出すために採用を制限したりリストラするなどして、人件費を圧縮してきました。
我々40代は、就職氷河期の真っ只中にあり、もっとも割りを食った世代とも言えます。私を含め、就職に苦労して、不本意な形でやむなく就職した人も多いでしょう。
しかし現在では状況は様変わりしており、日本企業は人手不足にあえぐようになっています。
このような状況の中、今多くの企業が40代の転職者に熱い視線を送っているのです。
従来とは違うやり方を模索
情報化社会になって、商品のライフサイクルが早くなりました。
次から次へどんどん新商品を出していかないと消費者からすぐ飽きられ、忘れられてしまいます。
消費者の購買ニーズが低下しているため、市場は年々縮小していっています。残されたパイを争うため、市場内での競争も激しくなる一方です。
仮に新しい市場ができても、あっという間に参入者企業が増えて熾烈な顧客獲得競争が始まります。
企業では激しい競争に打ち勝つためにも、従来とは違うやり方を常に模索しています。
今までと同じやり方や考え方では、他社に勝てないことがわかっているからです。
激変する市場に柔軟に対応する必要性
ITなどの先端技術がどんどん加速する中で、アジアやインド、南米、アフリカも含めてのグローバル化も一段と密度が濃くなってきています。
そのために企業としては、新しい市場ニーズを開拓しなければ生き残れない状態になってきています。
しかし、今まで会社を支えてきた団塊の世代が定年退職でいなくなり、新しいことをやらなければいけないとわかっていながら、人材がいないのでなかなかできないというジレンマに陥っています。
20代や30代は、ITやグローバル化への対応はスムーズにできますが、実務経験や管理者経験が少ないというデメリットがあります。
逆に50代だと実務や管理の経験はあるが、ITやグローバル化への対応は難しい面があります。
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40代転職者に求められている能力
即戦力
即戦力として期待できる経験豊富な中堅の年代の社員、すなわち40代を必要としています。
20代や30代前半では若すぎて経験が不足したり、独りよがりでコミュニケーション能力が低かったりします。
40代ではそういう問題が少なく、経験も豊富で高度な専門性も兼ね備えています。
新しい組織に移っても、以前の仕事のやり方と比較したり組み合わせたりすることで新しいイノベーションを起こすことができる可能性が高いのです。
企業はそのような40代の潜在的なパワーを必要と考え、求人を出すと考えられます。
20年近い社会人としてのキャリア
40代だと20年近く社会人をやっていることになります。
深く意識はされていないかもしれませんが、その間に蓄積された仕事の進め方や仕事のこなし方、取引先との交渉力などの社会人としてのキャリアは、企業からすると貴重な資源に見えます。
教育する費用をかけずに、ノーコストですぐに戦力として活用できるからです。
高い専門性、ノウハウの蓄積
プロフェッショナルとして業界の専門知識やノウハウを持っています。
自分ではそんなに価値の無い専門知識ではないと思っているかもしれませんが、外の会社からするとそれが貴重なノウハウということもあります。
業界未経験分野への転職
40代で業界未経験の分野へ転職を考えている方もいらっしゃると思います。
通常であれば、40代で業界未経験分野の転職はキツイと思われるかもしれません。
当然企業は即戦力として活用したいと考えていますから、業界未経験というのは明らかにマイナス要素でしょう。といっても、全てに当てはまるわけでは無いと思います。
未経験の分野でも、今までのキャリアを応用することで十分対応できるかもしれません。業界が違っても、これまで蓄積してきた経験が活かせる場合もあるのです。
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コミュニケーション能力
20代や30代と違う、40代としての魅力は、このコミュニケーション能力にあると思います。
これまで会社組織で20年近く仕事をしてきたわけですから、組織の人間関係の調整には慣れているはずです。
複雑な人間関係を調整して、うまく仕事を進めていくコミュニケーション能力を企業は求めています。
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40代転職は「海外との仕事」にニーズがある
以前の会社での話ですが、私も海外部門の経験がありまして、そこで海外事業を統括している部長がいつも言っていたことを思い出します。
その部長さんは口癖のように、「海外での売上をもっと増やしたいけど、仕事を任せられる人がいない」といつも言っていました。
海外との仕事ができる人材というのは、新卒で入ってすぐに任せられる訳ではありません。それなりに時間をかけて教育して、育てる必要があります。
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40代は海外との仕事にニーズ有り
でもそこまで待っていては、競合他社との競争に負けたり、商売のタイミングを逃してしまうことになります。部長としては、目標の売上数字を達成しなければならないというプレッシャーも当然あります。
そこで海外事業を加速するために中途採用を考えるというシナリオになりますが、20代や30代だとちょっと若すぎるケースがあります。
でも40代で管理職経験があれば、一つのプロジェクトやチームを丸ごと任せられます。40代であれば、部下の育成にも役立つのです。
管理職経験がなくても、海外との仕事をした経験があればそれだけでかなり強いアピールになります。
実際問題として、TOEICの点数よりも実績の方を評価する企業が多い印象があります。もちろん点数が高い方が良いのですが、点数が高いから仕事ができるわけではないので、そこはお飾り的な要素が強い。
このようなことを考えている企業は一社だけではないはずです。どの会社も似たような悩みがあるのではないでしょうか?
定年退職者からのバトンタッチとして
40代の転職ニーズとして高いのが、定年退職される方の後釜としてのニーズです。
ポイントとしては、次の3点があります。
ポイント
- 定年退職の経験をカバーできる
- 新しい風を取り入れることができる
- 組織的にも馴染みやすい
- 定年退職者のプライドを傷つけない
定年退職者の経験をカバーできる
定年退職される方の後釜としてなぜ40代にニーズがあるかというと、定年退職される方の豊富な経験を理解でき、吸収できるポテンシャルを多く持つのが40代だからです。
40代はこれまでの社会人経験も豊富で、60代後半の方の文化的背景にも理解ができます。つまり、話を合わすことができます。
これは仕事を引き継ぐ上でも重要なファクターで、引継書には書けないような微妙な暗黙知に関わる領域をカバーするのに役立ちます。
若い20代や30代であれば、文化的にはかなり大きな開きがあるので、双方で理解できないギャップが大きくなり、いくら口で言っても理解できないことがたくさんできてきます。
たとえば、40代であればカセットテープといってもピンと来ますが、20代の方にはあまりピンと来ないでしょう。
このように、40代以上であれば60代後半の方との接点が多くなるので、引き継ぎできる精度も高くなります。
新しい風を取り入れることができる
そして、40代であれば、新しいことを取り入れることにも柔軟性があります。
定年退職の方がリタイヤするタイミングで、新しい仕事のやり方を取り入れたいと考える部署も多いのです。
たとえば、これまでエクセルベースで仕事をしていたのを、思い切ってクラウド化するなどして新しいやり方に変えて、チームとしての効率アップを図るといったように。
やっぱりこれまでは定年退職される方に配慮して、なかなか新しいやり方を取り入れることに躊躇されている部分も多かったと思います。
それが新しく40代の方に仕事を引き継ぐことができれば、新しい柔軟な考えも取り入れやすくなるのです。
組織的にも馴染みやすい
また、これまでのやり方を巻き取ることができ、新しいやり方にも柔軟に取り込めるので組織的にも馴染みやすいというメリットがあります。
これが20代や30代の若い人だと、やはりどこかが大きく変わった感じが出てきてしまいます。
ギクシャクした感じが出てきて、組織やチーム内のコミュニケーションが阻害されて、それが重大なミスにつながったりして組織的にもダメージが出てきてしまいます。
その点から考えても、40代にニーズがあります。
定年退職者のプライドを傷つけない
定年退職の側からしても、20代や30代に仕事を引き継ぐとなると、歳が離れすぎていて気が重くなります。
あるいは、プライドを傷つけられる人もいるかもしれません。
「なんでこんな若造にこれまで長年頑張ってきた仕事を引き継がねばならないのか。俺の仕事は所詮そんなものだったのか。」
などど思ってしまいます。
仕事を引き継ぐよりも、経験豊富な40代に引き継ぐ方が気分良いはずです。
40代であれば、それなりに経験もあるし、そんなにプライドを傷つけられることもありません。
中途採用の傾向からしても妥当だと思い、うまく引き継ぎをしようと思うでしょう。
40代の転職にはニーズがある
確実にニーズは存在する
40代を過ぎれば確かに応募できる求人枠は少なくなります。これは私の実感としてもすごく感じますし、転職エージェントとの話からもそうです。
(これは余談ですが、派遣も同様です。しかし、バイトはその限りではありません。)
しかし、確実にニーズは存在します。完全に無理ということはありません。
40代での転職を成功させるには、まず自分にはニーズがあると自覚し、多くの企業に当たってみることが重要です。
というか、断られるのがデフォルトだと思っていれば、2〜3社うまくいかなくてもなんともありませんよ。
転職サイトの担当者と二人三脚で
できれば転職サイトに登録して、転職コンサルタントと一緒に進めていくのが重要です。これは私の経験から強く言いたいことです。
一人でやっていればすぐ心が折れてしまうことでも、転職コンサルと相談しながら進めていくとすごく心強いです。
自分一人では気づかなかったことも、話をするうちに打開策が見つかることも多いのです。
→リクルートエージェント ネットワークが広く、求人数が圧倒的なので40代転職向けです
こちらのページでは、失敗しない40代転職のポイントについて紹介しています。
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40代から転職するなら、賢く図太く行きたいよね
若い世代の転職とは違い、40代以上の転職は戦略性が必要です。これまでに転職や派遣、起業して様々な職場を経験してことから言えば、40代転職成功の鍵は、情報量・積極的姿勢・第三者の活用の3つにあると言えます。このうちの積極的姿勢を除いた2点をカバーするのが、転職サイトの活用です。
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