「会社を辞めたい」「転職したい」などで退職に悩んでいることを人に相談すると、「辞める前に、部署を異動したらどう?」とアドバイスを受けることがあります。
部署を異動するって、一見なんとなく良さげで良い解決策になりそうです。
いきなり会社をやめたりするのはリスクあるけど、部署異動だけなら、そんなにリスクはなさそうに思えるからです。
アドバイスを受けた本人も、じゃあ異動届けを会社に出してみようかな、という気になります。
でも実際はどうなのでしょうか?
本当に良い解決策なのでしょうか?
私の経験から言うと、まったく解決になりませんでした。むしろ退職したい気持ちの方が強くなりました。
希望の部署に移動しても、退職したい気持ちの根本的な解決にならない場合の方が大きいように思います。
部署異動は解決策になるか?
このままでは自分がダメになる。会社を辞めたい。でも転職したり独立したりするのはリスクがある。
そこで思いつくのが「部署異動」です。
部署異動なら大きなリスクを追うことなく、職場環境を変えられるので、一見メリットがありそうに思います。
でも本当にそうなんでしょうか?
その場しのぎにしかならない場合がある
これは私の経験からの意見ですが、会社を辞めようと思う理由によっては、部署異動してもその場しのぎにしかならない場合があります。最悪の場合は、さらに悪化して人生を悲観してしまうこともあるように思います。
部署異動を決める前に、まずは立ち止まって少し考えてみることが必要だと思います。なぜ自分は会社を辞めたいのか、その理由が大事です。
退職したい理由によっては部署異動しても解決しないことの方が多い、というのが私の意見です。
ではどんな退職の理由なら、部署異動しても良いのでしょうか。またどんな理由だと、部署異動しても意味がないのでしょうか。
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会社を辞めたい理由ベスト3
会社を辞めたいという時、その背後には非常に個人的な思いが絡み合っているものです。なかなかうまく人に説明できるものではありません。
でも絡み合った糸を手繰り寄せて元を辿っていくと、会社を辞めたい理由は大きく分けると、次の3つに辿りつくように思います。
会社を辞めたい理由ベスト3
- 人間関係
- 今の仕事が嫌
- 会社が合わない
人間関係で悩んでいるのか、今の仕事が嫌なのか、今の会社が自分に合わないのか。
今退職に悩んでいる方とすれば、おそらく上の3つのどれか一つには当てはまると思います。1つだけではなく、2つとか全部という場合も多いでしょう。そういう場合は、それらの中で一番気持ちの強いのはどれなのかを選ぶと良いです。
私の場合は、3つ全てに当てはまりました。
上司との人間関係に悩んでいましたし、これから先を考えた場合、この先ずっとこの仕事をやるべきではないと感じていました。会社が合わないという気持ちは、実は新入社員の頃からずっとくすぶっていて、30代・40代となるにつれどんどん大きくなっていっていました。
3つの退職理由のうち、部署異動して比較的意味があるのは、「人間関係」と「今の仕事が嫌」という場合でしょうか。
ただし「比較的意味がある」ので、絶対ということではありません。
異動先でも同じようなケースで人間関係に悩む場合も結構ありますし、異動先での新しい仕事が自分に合うかどうかわからないからです。
1. 人間関係
人間関係をこじらせてしまった場合は、今の場所から早いこと立ち去ることをお勧めします。
無理をして今の部署にとどまっていると、その分ずっとストレスが溜まっていきます。顔を見るだけ、声を聞くだけで嫌いな人でも、仕事だから一緒にチームを組まなければいけませんし、会話もしなければならないからです。それも毎日のことです。
仕事中はいつも自分の「嫌だ」という気持ちを封じていなければなりません。これは、かなりストレスがかかることです。
短期間で済めば良いのですが何年もこじらせていると、私もそうでしたが、抑うつ症になったり、出社拒否につながったりします。
嫌な相手とは顔を合わせないことが一番です。
新しい部署でも人間関係で悩むこともある
ただし部署移動さえすれば、もう2度と人間関係に悩むことはなくなるのかといえば、決してそうではありません。
新しい部署で同じような苦手な人が出てくることもあるでしょう。もしかすると、そういうケースのほうが多いかもしれません。
私の場合、転勤も含めて異動した回数でいえば5回ほどありましたが、その中の三つの部署で上司との人間関係に深刻に悩んだ経験があります。
新しい部署で、苦手な人がまた出てきたらどうするのか。また部署を移るのか。なんとか自分で対処できるように学ぶか。新しい部署に移るタイミングで、一度自分の中で考えておく必要があります。
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2. 今の仕事が嫌
今の仕事が嫌で部署異動する場合は、異動先での仕事が自分のやりたい仕事かどうかが重要です。
そのため多くの方が、希望を出して部署異動すると思います。
ただし希望の部署へ異動しても、仕事を実際にやってみるまでは自分に合っているかどうかわかりません。
最初のうちは希望が叶ったといって毎日楽しかったのが、時間が経つにつれて嫌になることもありますし、逆のパターンもあります。異動後しばらくして人間関係に悩み出すということもあります。
私も過去、希望を出して異動したことがあります。異動当初はフレッシュな気持ちで頑張っていたのですが、そのうち上司とそりが合わなくなり、人間関係で悩んだことがあります。
上司の打ち出す方向性と自分の求める方向性が、まったく対立するようになってしまったのです。
せっかく希望の部署になったのだから、最善を尽くしたい気持ちでいます。でも、上司の指示に従うだけだけだと、異動した意味が無くなってきます。これだったら以前の部署でイヤイヤながら仕事していたほうがマシです。
それからは、だんだん仕事が嫌になり、やる気も無くなってきました。
一度希望を出している手前、上司との人間関係に悩んでいるとなかなか打ち明けられず、大変苦しい思いをしました。
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3. 会社が合わない
会社が合わないと考えている場合、部署異動してもあまり意味が無いと思います。部署を異動しても結局は同じ会社にいるわけなので、会社が合わないという気持ちが変わるわけではないからです。
だからもし会社を辞めたいと思っている方は、部署異動したとしても退職したい気持ちはおそらく消えることはないでしょう。
もちろん異動先の部署が偶然にも自分のやりたいことに見事に合致していたということもあるかもしれません。もしそうなったら非常にラッキーなことだと思いますが、多分そういうことは、宝くじに当たるぐらい非常に稀なケースになると思います。
ただし退職に反対している人への説得材料として、「部署異動したけど、会社を辞めたい気持ちは変わらなかった。」とは言えると思います。3年から5年ぐらい新しい部署で我慢した後に、切り札として使うのです。
関連記事:退職理由「職場の雰囲気が合わない」は、こう言い換えよう
退職の切り札にはなるかも
もし家族や妻に退職を反対されていて、でもどうしても退職したい気持ちが強い場合は、一度部署異動というステップを踏んでから退職ということもありだと思います。
この場合、なんとなく会社を騙しているような後ろめたい気持ちはあるのですが、反対意見を封じることはできます。肉を切らせて骨を断つ的な切り札ではありますが、実際に使えます。
私が退職する時も、退職の口実として「部署異動しても同じだった」を決めゼリフとして何度も使いました。言われた相手は、「じゃあ、しょうがないな」ということに大半の場合はなります。
会社が合わないと感じている人は、我慢していると人生を棒に振ることになるかもしれないので、早く決断して行動に移す必要があると思います。
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部署異動の経験談
会社を辞めたいと相談すると、「部署異動」をアドバイスされることがあります。部署異動なら、会社を辞めるという大きなリスクを背負う事なく、人間関係や仕事を変えることができるからです。
メリットとデメリットで考えた場合、部署異動というのは良い解決方法といえるかもしれません。でも部署異動したからといって、全ての人が退職したい気持ちが解消されるわけではありません。
なぜなら私の場合がそうだったからです。
異動しても辞めたい気持ちは変わらなかった
一度希望を出して部署異動しましたが、会社を辞めたい気持ちはずっとくすぶっていました。もちろん異動した当初こそ退職したい気持ちは静まりましたが、半年ほどして新しい職場に慣れてくるとやっぱり退職したい気持ちが強くなってきました。
こうなると一度希望を出して異動している身ですから、なかなか退職したいと周りに相談することもできません。相談したところで、「この前異動したばかりなのにもう辞めたいの? あいつ信用できないな」となってしまいかねません。
結局のところ、希望する部署に異動しても自分の退職したい気持ちは変わることはありませんでした。むしろ、退職したい気持ちが強まりました。
異動しても結局同じこと。「部署異動する前にさっさと退職しておけばよかった」と何回も思いました。
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部署異動は根本的な解決にはならない
もし会社に合わないから会社を辞めたいという気持ちが強いなら、部署異動で一時しのぎをするのではなく、自分の気持ちに正直に向き合い、潔く退職して別の道を進むことを真剣に考えるべきでしょう。
部署異動したからといって、悩みが根本的に解消されるわけではありません。
学生の頃から、ずっとやってみたかった仕事ができる部署が新しくできました。それまでの仕事は退屈でつまらなく、人間関係も悪くなってきたので転職も考えていた頃です。
人員を募集していたので自分も応募してみたところ、異動が認められました。
異動の辞令をもらったときは滅茶苦茶嬉しくて、人生こんなにハッピーな事がいいものかと喜んだものです。
しかし新しい部署に出勤して半年もしないうちに、新たな問題にぶち当たることになります。
その部署の上司の考え方と自分の考え方がまるで合わないのです。
上司が方針を出せば、自分はまったく納得が行きません。そのうち激しく対立するようになり、就業中は口もきかなくなりました。
仕事もなくなり、私は部署で孤立するようになっていきました。
朝出勤してもなんの仕事もありません。同僚も声をかけてもくれません。知らずしらずに涙が出てきました。
これでは、なんのために異動願いを出したのかわかりません。
会社も仕事も楽しい場所ではなくなってしまいました。これなら最初から異動希望などださずに、自分の考えに合う会社に転職しておけばよかったと後悔しました。
ただの先延ばしかもしれない
希望の部署に異動というと、すごく良い解決策のように思います。
でも実際は、また同じようなことで悩むこともありますし、余計悩みが悪化することもあります。私の場合は後者でした。
異動した最初の頃のうちはまだ良いでしょう。でもそのうちまた嫌になってくるものです。部署を異動したからといっても、根本的な悩みが解消されていないと結局は同じことの繰り返しなのです。
部署異動すれば半年ぐらいはフレッシュな気持ちでいられますが、それは単に悩みの解決を先延ばししただけかもしれません。
もし退職に悩んでいて、その解決策として部署異動を検討されているなら、「本当は自分はどうしたいのか」を真剣に考える必要があると思います。
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