40代で退職して起業した事業が失敗、再起を目指すもなかなかうまくいかず、貧乏のどん底を経験しました。
現在はトリプルワークをしながら生活費を稼ぎ、諦めずに再起を図っています。
そんな私が貧乏のどん底にあったときに考えた、貧乏の正体をまとめることにしました。
貧乏から抜け出したい方はもちろん、お金がたまらない方や請求書に追いかけられている方、そして貧乏というものを興味本位で愉しみたい方まで、多くの方の参考になれば嬉しいです。
※このページで使用している貧乏とは、一般的に使われる「貧困」とほぼ同じ意味で使っています。
でも、「貧困」という言葉にすると、自分とは違う遠い世界のようなイメージなので、より自分に近いイメージとして貧乏という言葉を使っています。
貧乏イコール欠乏症である
貧乏という文字に隠された意味
貧乏の正体は、欠乏感にあると実感します。そういえば、貧乏の乏は、欠乏の乏と同じ字を書きますね。
お金が足りないのはもちろん。時間、愛情、快適さ、能力・・・ありとあらゆるもに欠乏感を感じます。
そして、その欠乏感か誤った意思決定を導き出し、さらに欠乏感を大きくしていく悪循環へと追いやられるのです。
欠乏感は、あらゆる余裕を奪います。お金の余裕、時間の余裕、気持ちの余裕、考える余裕・・・・・・。
余裕を奪われた結果、判断力が鈍ることになります。
貧乏人とそうじゃない人の比較
例えばこんなケースを考えてみるとわかりやすいと思います。
例えばエアコンが壊れそうだとします。もうそろそろ壊れそう、壊れるのは時間の問題だ、という感じです。
もし、お金に余裕がある人であれば、すぐにでも買い替えて、据付の手配までやってしまうでしょう。ここでは判断するのになんの難しいことがありません。良さそうな新しいエアコンを注文して、後はよろしく!で済みます。なんの問題もなく、生活はつづいていきます。
では、貧乏な人はどうでしょうか。
まず、エアコン購入する費用のやりくりから考えなければなりません。食費を減らしたり、残業を増やしたり、あるいはバイトをするかもしれません。行動できるひとはまだ良いのですが、たいていのひとは、まだ行ける!と現実逃避します。判断を避けるのです。
つまり、壊れそうということを考えないようにするんです。買えないの、わかってるので。
余裕がないのでもはや冷静に考えられないんです。なんとかなるよ、と自分にいい聞かせます。
しばらくすると、本当にエアコンが壊れます。すると部屋が猛烈に暑くなり、眠れない夜を過ごすことになります。
なんとかなる、は間違い、なんともなりません。
決死の覚悟でお金をかき集めて、買うことを決断してもシーズン中なのでどこも割高です。なけなしのお金なので、さらにお金を支払う羽目になります。
あるいは、仕方なく動作保証のない中古品を探すしかありません。中古品なので、来年まで持つかは未知数です。すぐ壊れてしまうかもしれませんし、動作するかも確かではありません。
このように、エアコンが壊れるというおなじようなケースだとしても、余裕のある人とない人では、結果がかなり違って来ます。
余裕がある人は、サッと対応できて、その後は何事もなかったかのように快適な生活を送れますが、余裕のない人は、冷静な判断が遅れ、さらに悪い状況に落ち込んでいくのです。
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貧乏にハマったときの感覚
罪悪感
誰も助けてくれないし、状況も悪くなるばかり、周りの人はみんな自分を攻めてくるように感じます。
他人が怒っていたり、文句を言っているのを見てしまうと、自分が悪い、自分がこんな貧乏だから悪いんだと思ってしまいます。
でもよく考えてみると、自分はなにも悪いことはしていない。すべて自分が悪いように考えてしまうのです。
こうなると、自己肯定感・自尊心すら欠乏していきます。この感覚は、実際に体験した人じゃないとわからないとは思いますが。
自尊心の喪失
そしてさらに、何やってもうまく行かないというふうに、物事を捉えるようになります。
これまでずっと悪循環の繰り返しでしたから、そう考えるのも無理ありません。なにか新しいことにチャレンジしようとか思っても、どうせ駄目なんだからやっても無理と考えてしまうのです。
もはや自尊心や未来への希望すら欠乏していくのです。この感覚は、実際に体験した人じゃないとわからないとは思いますが。
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貧乏は自己責任か?
貧乏になる人は、働かない怠け者でしょ。
自分は正社員だし、貯金もしている。投資もしている。
きちんと備えをしていないから、貧乏になるのは当然だよね。そんなの自己責任でしょ、お金がなかったら働けばいいのにと思う方が大半でしょう。
でも実際は、そう単純なことではないのです。
自分では制御できない恐さ
貧乏は、一回なってしまうと、アリ地獄のようにどんどん悪い方にハマっていきます。
必死にもがけばもがくほど、さらに手を取られ足を取られ、どうにもならないところまで落ちて行くのです。
普通の人が貧乏に陥るストーリー
例えば、会社が業績悪化し、給料が減り、 ボーナスも減ったとしましょう。それだけなら、貧乏になることは少ないです。
でも、同時に家族が倒れて介護が必要となったらどうでしょうか。こういうところから、貧乏はスタートするのです。
面倒を見るために会社を辞めざるをえなくなるかもしれません。とりあえず、貯金をとりくずしながら、耐えていこうと思います。
しばらくして、子供の大学受験のため予備校に通うことになりました。
大学に行くことは約束していたし、なんとか大学は行かせたいと言う親心もあります。これまで投資していた株を売り、なんとか工面しました。
やれやれと思ったのもつかの間、冷蔵庫とエアコンが壊れました。生活に必要なものですから、買うしかありません。
もう貯金はあとわずかしかありません。仕方なく仕事を探します。
介護をしているため、フルタイムで仕事はできません。体力にはあまり自信がなく、できる仕事といえば、倉庫の仕分け作業ぐらいしかありません。
でも、やらなければ生活できないので、仕事をはじめますが、休みなく働いても、そもそもの時給が低いので家計は赤字です。
インフレで物価はどんどん上昇していきますが、時給はびくともしません。
それでヘトヘトになって仕事から帰ると、塾代の値上げと、住宅ローンの利率が上がるお知らせが届いていた・・・・・・。
こうなったら、多少無理しても、もう一つバイトをしないと破産する!と決意するのでした・・・・・・。
必死で働いても状況は改善されず、さらに搾取される
どうでしょうか。
これは架空のストーリーであり、貧乏に陥るパターンこれ以外にも無数にあり、このようなことは、多かれ少なかれ誰にも起こりうることです。
このように、一度ハマると状況はどんどん悪化していきます。
自力で改善しようにも自分ではコントロールできないということがわかると思います。
だんだん深みにハマり込み、身動きが取れなくなっていきます。
必死で仕事をしていても報われず、さらに悪くなるばかり。先ほどのストーリーで言うと、もう一つバイトをしたところで、わずかに収入は増えますが、無理をしているので必ず健康を損ない、体を壊します。つまり、長続きしない。その先は、どうなるか?借金づけになり、さらに身動きできなくなります。
誰かに相談するとしても、結局自己責任でしょ、上から目線で、もっと働け!と言われるばかり。
でも、そんなことを言われたって、もうどうしようもない。
これはいったいどうしたことなのか、不思議に思うことすらありません。もう、こういう搾取の構図に慣れてしまっているからです。
これは果たして自己責任なのでしょうか。そう簡単には割り切れないと思います。
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貧乏なら、もっと働けばいいじゃん!というけれど
貧乏人はもっと働け!とよく言われますが、実際は逆ですね。
一般に思われているより、貧乏人は長時間働いています。
バイトを掛け持ちして、休み無しの週70時間働き詰めの人なんて、私含めてたくさんいます。
いわゆるブルーカラーと言われる工場や販売、物流、清掃などの現場職では、ダブルワークなんて当たり前です。
本業の仕事何してるの?なんて会話なんて普通ですからね。
それでも貯金までできず、ギリギリの生活を送っているのです。
朝3時に起きて、子供の食事の支度して、自分の弁当作って、始発で最初の仕事に行き、その後に本業の仕事に行く。
夜7時ごろにヘトヘトになって帰宅して、ご飯食べてお風呂入ってとかしていたら、寝る時間などほとんど取れない。
本業が休みの週末は、別の仕事に行くといった人は本当に多いです。
余裕のある人はここまで働かないでしよ?
始発電車の現実
まず始発に乗らないですし。朝早く出勤するとしても、せいぜい6時台でしょう。
嘘だと思うなら、一度平日電車の始発に乗ってみると良いと思います。現場の作業服を着た方、パートの仕事に向かうと思われる高齢の方のラッシュになっています。
もし、貧乏な人と裕福な人と時給を同じにしたら、一発で立場が逆転するでしょうね。
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本質はそこじゃない
なにか一つでもうまく行かなければ地獄行き
貧乏になった原因は、様々な原因が積み重なったもので、事故に遭う、アンラッキーなど、自分でコントロールできる範囲を超えたことが重なった結果なのです。
自分で経験して実感しますが、努力をしてない訳ではないのです。
仕事をしないわけでもない。むしろその逆で、徹底的に節約し、食べたいものも我慢し、図書館に通って本を読みまくり、仕事を3つ掛け持ちして、それでもお金はたまらない。食費、光熱費、教育代、家賃に消えるだけ。
それでも物価は上がり続けるし、掛け持ちしている複数の仕事の給料はずっと上がらない。
年齢とともに体調もわるくなり、さらにお金がかかる。炊飯器、冷蔵庫、生活のために必要な家電が壊れれば、さらに追い詰められる。貧乏に余裕はないのです
なにか一つでもうまく行かなければ、すぐに地獄行きとなる。
自己責任というのはかっこいいけれど
それが貧乏の正体。
自己責任と切り捨てるのは簡単だし、かっこいいけど、本当はそんなことじゃない。
もっと切迫詰まった、複雑に絡み合った、汗と涙と不眠とやるせなさに追いかけられる、絶望と隣り合わせの感じ。
自分ではどうすることもできない絶望感という感じ。
だから、自己責任と一言で片付けられないし、そんなことに囚われていても貧乏からは脱却できないと考えるのです。
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貧乏から抜け出す方法はあるのか?
自力では不可能に近い
じゃあ貧乏から脱出する方法は、果たしてあるんでしょうか?
貧乏の正体は欠乏症なので、つまるところお金の欠乏をなくすこと。お金の余裕をもたせることにほかならない。
でも、果たしてそれを自力でできるかどうか?が問題なわけです。
私の考えは、自力ではほぼ不可能に近いと思います。
何らかのサポートがなければ、かなり難しいと言わざると得ません。
でも、なんらかのサポートと言っても、現状はほぼありません。生活保護ぐらいです。
その前段階のサポートがあればいいのですが、政権が積極財政系に変わらない限りきたいはできません。(その意味でも投票に行く事はすごく大事だったりします。)
だからこそ、これ以上深みにハマらないように予防していくしかないと思います。
では予防するにはどうしたらいいか?
これ以上ハマらないために、貧乏を予防する方法
家計を黒字化する
貧乏を予防する方法は、お金の欠乏感をできる限りなくすことです。
そのためには、家計の収支をとにかく黒字にすることです。
まずやることは、これ以上やれば無理!という限界まで仕事を入れること。これで収入額の上限が決まります。
この上限が決まったら、次になんとかして出費を減らすんです。黒字にできるように徹底して減らします。
生活を切り詰めてでもです。
これで家計が黒字にできれば、気持ちに余裕ができます。この余裕の気持ちが生まれることが、なによりも貧乏への予防線になるんです。
その上で、不用品を売却し、売却益を貯金に回したり、株式に投資したりします。投資というとお金持ちというイメージがあるのですが、最近はスマホで1000円から買える証券会社があります。
たとえ少額といえども、少しずつ長い時間をかけて積み立てていけば大きなお金に育っていきます。
そして、隙間時間はポイントサイトでポイ活をしたり、アプリのアンケートをして小遣い稼ぎをします。これで少しばかりの自分へのご褒美を買ったり、ちょっとした息抜きができます。
貧乏にハマったら、一気にそこを抜け出るのではなく、螺旋階段を一段ずつ登るような感じで、じわじわと上がっていくことが一番の近道だと感じます。
これはすごく根性が必要で、だからこそ、不可能に近いと感じるんです。
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貧乏(貧困)の実態を理解するための本
最後に、貧乏や貧困をイメージするための本を紹介したいと思います。
これらの本は、実際に貧乏に陥った私が読んで、実態に即していると感じた本となります。
貧乏や貧困について、もっとよく知りたい。理解を深めたいと言う方に読んでいただきたいと思います。
隷属なき道 AIとの競争に勝つ ベーシックインカムと一日三時間労働