ある若手起業家が自身のブログで「起業に準備はいらない」というような記事を書いていました。
そして、起業するなら20代が最適だということです。なぜなら、失うものがないからということでした。
起業に準備は要らない?
なるほど、「起業に準備はいらない」か。
20代後半で訪問販売の営業から数年で株式会社化させた実績を持つ彼ならではの言葉です。今もどんどん業績を向上させていて、若手起業家育成のセミナーもしているようです。
まあ確かにそうかもしれません。でも自分自身としては到底受け入れられないな、と思いました。自分が40代ということもあるかもしれませんし、40代で起業して一回失敗しているということもあります。
なにかひっかかるものがあるのです。成功している若手起業家の彼の言葉に素直に頷けないものがあります。
若いからこそ簡単に起業できるという側面があるのは否定しません。
自分の20代の頃を考えると、果たして同じ20代にそこまでしっかりした考え方ができたかというと、できなかったと思います。どっちかというと周りに流されて就職活動していた口でしたから。
起業家礼賛に違和感
そんな違和感を感じつつもブログを読み続けていると、なんとなくその正体がわかりました。
その若手起業家のブログの書き方が、起業してナンボという書き方、いわゆる起業家礼賛的な考え方に違和感があったのです。
まるで若く起業して人生チャレンジする人が最高で、会社員としてしがみついている人はダメ人間と切り捨てているような印象があります。
そりゃあ、20代で起業できていればよかったとは思います。でも、いろいろあって今まで会社にいることしかできなかった人はどうなるのでしょうか。40代だけどこれから起業しようと考えている人はどうなるのでしょう。
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退職を先送りしている自分に劣等感
でも、違和感の本当のところはもっと深いところにありました。
「起業に準備はいらない」という言葉について考えていると、もしかして退職することに悩んでいる自分のことを言っているのかもしれないと思うに至りました。
起業したいけど、なかなか退職する勇気が出ない自分を意気地なしと非難しているように感じました。
実際そうかもしれません。
勇気と覚悟がなくて、ズルズルといつまでも退職を先送りしている自分。
つまり、起業家礼賛に違和感を感じたのではなく、単に自分に一番足りないところを指摘されただけ。一番したい退職をズルズル先延ばしている勇気の無さという図星を突かれただけなのです。
40代での起業には準備がいる
弁解を言わせてもらうと、20代の頃に彼の言葉を聞いても、たぶん起業は決心つかなかっただろうと思います。20代のころは会社は嫌だと感じていましたが、それなりに仕事に将来を感じていました。
彼は、起業に準備はいらないと言っていますが、それでも準備はいると思います。
人はなかなか変われるものではありません。いや、変わりたくない生き物だと思うのです。
若手起業家の彼は、自分でも気が付かないうちに、起業する準備が整っていたのだと思います。彼の起業するタイミングが、たまたま20代であっただけだと思います。
それを自分が起業できて成功してスゴイというように主張されると、違和感というか反発心が芽生えます。
起業するタイミングは人それぞれ
人にはそれぞれタイミングがあります。そもそも起業などしないという人の方が多いでしょう。
それでも起業したいと考えている人のうちで、20代で起業するタイミングの人もいるでしょう。私のように40代の方もいていいですし、定年後起業する人もいます。
誰しもが20代で起業すれば良いという単純な話ではないと思います。何歳になっても、チャレンジできる選択肢が残されているというのが良いと思います。
そして、40代で起業するのは決して遅くはありません。かと言って、「準備なしの起業」はあまりおすすめできません。
やっぱりかなり悩んで悩んで悩み抜いて、それでも起業したいと思えたぐらいが最適なタイミングなのだと思います。
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