起業するときの退職の伝え方はどうしたら良いのでしょうか。
起業すると素直に言ったら良いのでしょうか。万が一、上司からの引き留めがあった場合は、どうやって対処したらよいのでしょうか?
それとも起業することは隠して言わないほうが良いのでしょうか?
起業する場合の退職の伝え方は、人事面談などの上司との1対1のミーティングを利用するのがオススメです。上司からの慰留もなく、退職理由に深く突っ込まれることもなく、スムーズに円満退職できました。
私が実際に退職した経験を元に、起業する場合に会社に退職をどう伝えるか、上司に言うタイミング、上司から引き留められた場合の対応策を紹介していきます。
起業する場合の退職の伝え方・タイミング
起業する場合の退職の伝え方やタイミングは、次の3種類があります。
- 人事面談や上司と1対1のミーティングで
- 上司に直接声をかける
- メールやSNSで
私のオススメの退職の伝え方は、定期的な上司との1対1のミーティングの場を利用することです。
ミーティングの日程が予め決まっているので準備もしやすく、1対1のミーティングなので上司も話を聞いてくれやすい雰囲気だからです。
人事面談やワンツーワンなどの定期ミーティング
私の経験上、1対1で定期的に行われる人事面談やワンツーワンのミーティングの場を利用して起業を伝えるのが一番スムーズです。
事実、私もこちらの「40代で退職告白のリアルドキュメント」のページで書いている通り、上司との定期ミーティングの場を利用して起業を伝えました。もちろんスムーズに円満退社できました。
こういった上司の1対1のミーティングでは、今後仕事の進め方や自分のキャリアのことや目標についてといったことがメインの議題になります。上司も聞く耳を持っていますので、起業の話を切り出しやすいのです。
さらにこのようなミーティングでは、前向きに仕事に挑戦すること、難しい仕事にもチャレンジ精神を発揮していこうといった雰囲気になります。上司はこのようなミーティングを通して、部下のやる気を引き出すためにそういう雰囲気づくりをするためです。
そのため、起業という最も難しいチャレンジをするというあなたの意思を上司はなかなか否定しにくくなります。
もうひとつの利点としては、ミーティングをする日時が予め決まっているので、前もって準備しやすいことです。上司の性格を前もって予測しておき、ミーティングでこのような話がでたら、このタイミングで起業のことを言おうとあらかじめ準備しておきやすいのです。
これまでなかなか上司に切り出せない人でも、ミーティングを利用すれば、起業するとかなり言い出しやすくなります。
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上司に直接声をかけるタイミング
「あの、ちょっとよろしいでしょうか?」
と、上司に声を書けるのは意外と難しいです。
タイミングがすごく難しいんです。
「さあこれから上司に言うぞ!」と決意して上司に声をかけようとしたとたんに、電話が鳴ってしまって言いそびれてしまったり、上司の機嫌が悪そうに見えて「やっぱり明日にしよう」と思ってしまったりしたことなど、私も何回も経験しています。
ではいつ言うのが良いかというと、私の経験からすると、昼食後がベストです。
午前中は、仕事に集中していることが多く、あまり声をかけない方が良いでしょう。
夕方は、退社後になにか用があるかもしれないし、退職するというヘビーな要件だと帰社時間にも影響します。(話がややこしくなると、深夜までになったりすることもあります。)
このようなことを勘案して引き算していけば、昼食後がベスト。
昼食後なら満腹感から気持ちも大きくなっているので、イエスを言いやすい。
昼食後ならその日の時間はまだたっぷり残っているから、時間的余裕もあります。上司も余裕を持って話を聞きやすくなります。
言うなら、昼食後がおすすめです。
何曜日に言うのが良い?
曜日に関して言えば、何曜日でも良いとは思いますが、どちらかというと金曜日が良いのではないでしょうか?
これは上司の都合ではなく、言う方の都合です。
金曜日に思い切って会社に伝えれば、土日休みは開放感で過ごせるからです。
メールやSNSで伝える
最近はメールやSNSなどで伝えたいと考える人も多いと思いますが、私は最終的には直接会って伝えるのが良いと考えます。(リモートなどで伝えにくい場合は、遠隔でつなげて直接話すのが良いでしょう。)
メールやSNSだと一方的すぎて、受け取る方としては退職の理由など聞きたいことが聞けません。そのため、会社としては、あなたのことを不誠実だと感じるでしょう。
不誠実という印象を与えてしまうと、それが原因で円満どころか、どこかギクシャクしたものになりがちです。
起業するということは、社会に対して誠実であることがなにより求められます。起業後は、お客様に対して不誠実なことは一切できないのです。
退職に際してこれまで勤めてきた会社に不誠実なことをするといういうことは、「起業してもあまりうまくいかない」ということと同じではないでしょうか。
もしメールやSNSで伝える場合は、「話がしたい」という内容だけにとどめておき、日時を決めた上で「話をしたい」ことを伝えるようにしたいです。
一方的に「辞めたい」とメールに書くだけでは、やはり不誠実な印象を与えてしまいます。
起業するときは、きちんと筋を通した方が良いです。もし上司が起業に反対して引き留めていたとしても、最終的に応援してくれて、円満退社につながります。
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起業の切り出し方
1対1のミーティングの場合
1対1のミーティングの場合、起業の切り出し方は、基本的には上司からの問いに答える形が良いでしょう。
上司からの問い
- これからどんな仕事をしたいのか?
- やってみたい仕事は?
- 他になにか質問ありますか?
上記のような上司からの質問があったら、それが起業を切り出すチャンスです。上司からこのような話題をふってきたら、勇気を振り絞って起業を切り出しましょう。
こちらの「会社辞めたい40代へ。「退職は勢い」は本当でした」のページでも書いていますが、起業で切り出すにはけっこう勢いも必要だったりします。
上司に直接声をかける、メールやSNSの場合
メールやSNSの場合は、最初から「辞めたい」と書いて発信するのではなく、最初は「話がある」だけにとどめておき、話をする日時を決めるようにして、後日改めて起業して退職したいことを言うべきです。
上司と向き合ったら、まず自分から起業したい旨を切り出します。言うことは、1対1のミーティングのときと同じです。
失敗しない、起業するときの退職理由
起業するときの退職理由は、シンプルに起業すると伝えてください。
アレコレ嘘を言っても始まりません。誠実に言うことです。
と言っても、反対されてしまうのではないか、拒否されてしまうのではないか、と不安もあるでしょう。
そこで失敗しない退職理由をご紹介いたします。
起業を切り出すときの言葉(サンプル)
起業を切り出すときの言葉
実は、これからやってみたいことがあるんです。それはこの会社ではできないので、独立してやりたいと思っています。
かなり悩んだのですが、チャレンジしないで後悔するより、たとえ失敗してもチャレンジしたいと考えました。
上記は、起業を切り出すときに言うと良いセリフのサンプルです。こんな感じのことを思い切って言うと良いです。
ポイントは、「チャレンジしたい」ということを伝えることです。
ポイント
最初はぼやかし気味に「これからやってみたいことがある」と言います。
これがつかみです。聞いている上司の方としては、「ん?何のこと?」と思うので、聞く体制になります。
少し間を置いて、上司が聞く態勢になっているなと確認します。「どうしたの?」ぐらいは聞いてくるかもしれません。
そしたら、もう一度「これからやってみたいことがある」と言います。そして、次の言葉。「それはこの会社ではできない」「独立してやりたい」と言います。
ここで会社を辞めて起業したいという意思を伝えます。ポイントとしては、「起業」という言葉をつかわないことです。「独立」と言います。
起業と言う言葉のニュアンスというのは強いので、少し柔らかいイメージのある独立と言う言葉を伝えます。でも、おそらく上司の頭の中では、独立と言う言葉が起業に置き換わるはずです。
そして、「チャレンジ」「失敗」「後悔」の3つのキーワードを使い、退職の意思は固いということを示します。
頭の回転の速い上司なら、退職理由はこれで終了です。
次は起業内容を聞いてくるでしょう。これについては、次の「企業内容の説明の仕方」で説明します。
注意点
注意点としては、今の会社と競合しないということは、一言付け加えておくことです。
もし競合する場合でも、競合しないと言っておくと良いです。
現時点では起業していないわけですし、後で競合していることがバレても、「生き残るために仕方がなかった」と言えば良いからです。
汚いと言われるかも知れませんが、世界中の会社で同じようなことをやっています。
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起業内容の説明の仕方
上司が起業内容を聞く理由
ポイント
- 個人的な興味
- あなたの上司のその上の上司に報告するため
あなたが起業したいというと、上司は必ずあなたの起業内容を聞いてきます。
それは単純に個人的な興味で聞きたいということと、もう一つは他の人に説明するためです。
上司は、あなたが起業することを、あなたの上司のその上の上司や社長に伝えなければいけません。
社長が、「どんな分野で起業するのか?」と聞かれれば、それに対してあなたの上司は回答しなければなりません。「さあ?」といった回答では、その上司の評価が下がってしまうからです。
だから上司は、あなたが起業したいと聞いた瞬間から、どうやって社長に説明するかを考えながら、「どのような起業内容かを説明して欲しい」と言うのです。
上司に起業内容を伝えるポイント
上手に起業内容を伝えるポイントは、上司にも簡単にわかるようなキーワードを散りばめることです。
上司は、あなたの起業内容に詳しいわけではありません。素人です。
だから詳しく論理的に説明しないでも良いのです。まずは、キーワードを散りばめておいて、そこにひっかかるワードを探します。
たとえば、WEBサービスで起業したい場合、「ITの分野でマーケティングを使ったサービスをしたいと考えています」といえば、上司も、「ああ、ITね。サービスか。」となって、「そういえばマーケティングとかも言ってたな」となります。
知っている単語があれば、上司も納得しやすくなります。
詳しくビジネスの説明をすると、上司もわけがわからなくなってきます。
こうなると逆効果になります。
社長に報告する段階で「聞いたけではよくわかない分野で起業するようなんですよ。引き止めたほうが良いですかね?」というようなことになりかねません。
あともう一つ気をつけるべきポイントは、上司から「成功の目処は?」「それで本当にうまくいきそうなの?」というようなことを言われたときは、「やってみないとわからないのですが、起業した以上精一杯やります」と自信を持って答えることです。
ここで怖気づいたり、視線をそらしたりせず、堂々とすることがポイントです。たとえ成功の自信がなくても、そう言い切ってしまいます。
上司からの引き留めが合った場合の対処方法
もし仮に上司からの引き留めがあった場合は、どうしたら良いのでしょうか?
上司はあなたの起業を引き留める理由
引き留めが合った場合の対処方法を紹介する前に、まず最初に、なぜ上司は起業することを引き止めるのかを考えてみたいと思います。
注意ポイント
- 普通の反応として引き留める
- エクスキューズとしての引き留め
- あなたが辞めると評価にマイナスになるから
普通の反応として引き留める
まず大抵の人は起業することに抵抗感があるので、最初は反対するものです。
起業するというこは、今の安定を捨てて人生を賭けてチャレンジするということです。一度会社を辞めれば引き返せないのです。
同じ会社にいる人間なら、まずは引き止めようと思うでしょう。
ここまでは普通に思うことですが、ここからは社会人として組織の論理も働きます。
エクスキューズとしての引き留め
たとえ内心では、あなたが「辞めようがどうでもよい」と思っていても、社長に報告する手前、表面的でも引き止めておこうと思うかも知れません。
「引き止めたんだけど、どうしても聞かなかった」というエクスキューズになるからです。
こういうエクスキューズを言うために、「起業なんてやめておいた方が良い」と引き止めるのです。
あなたが辞めると評価にマイナスになるから
もう一つの理由としては、あなたが辞めると、上司の人事評価が下がるからです。
リーダーシップが足りないというマイナス評価になってしまいます。
もし仮に社長があなたのことを気に入っていたとします。そうすれば、「なぜあいつを辞めさせたんだ?」と、社長の部下であるあなたの上司の評価は下がるのです。
評価を下げられたくない上司は、必死で引き留めようとするでしょう。「起業なんてそんな甘いことやめておけ!」といったふうに。
引き留めへの対処方法
では、上司から引き留めがあった場合、どうしたら良いのでしょうか?
上司からの反対が合った場合、それは「自分の起業の意思をチェックされている」と考えた方が良いです。
上司からの反対があったからといって、それで上司の言うとおりに起業を止めてしまえば、あなたの起業したい思いはそこまでだった、ということです。
上司はただのエクスキューズのために引き留めているのかもしれません。あるいはただ単に自分の評価を下げたくないからかもしれません。
それであなたが簡単に意思を曲げてしまったら、上司は「なんだ。こんな簡単に意思を曲げるのか。」とあなたを低く考えるでしょう。
一度起業すると言ったら、絶対に曲げないことです。
反対があっても、自分の意思が変わらないことがわかれば、誰ももう反対しません。
あなたの意思が変わらなければ、上司は「さんざん引き留めたけど、あいつは頑固で意見を変えなかった。」と社長に報告するはずです。
「そうか。それなら仕方ない。」社長もその報告を聞けば納得するでしょう。
上司とすれば社長が納得した時点で、それで役目は終わりです。赤の他人であるあなたの起業が成功しようが失敗しようが関係ないからです。
そこまで意思を変えないあなたを逆に応援する気持ちになるかもしれません。
「引き留めたけど、そこまでやりたいんだったら仕方が無い、がんばれよ!」となるのです。
起業すると伝えたほうが良いのか、言わないほうが良いのか
ケースバイケースだとは思いますが、私は普通に起業すると伝えた方が良いと思います。
伝えない方が良いという人は、上司からの引き留めを理由にしますが、組織上、上司は引き留める役目なんです。
こういう上司の役目を知っておけば、引き留めにあっても自分の意見は変えるべきでは無いというのが理解できるでしょう。
もしそれでも「聞いてくれない」という場合は、最後の手段として「退職代行」を使うことを考えた方が良いです。でも、現実的にはそのようなケースはレアだと思います。
退職代行については、こちらの「退職代行って怪しい?こんなケースなら使っても大丈夫?」のページで詳しく書いています。気になった方は参考にしてください。