私は30歳の時に副業を始めました。
その頃から会社が嫌でした。転職活動もしていましたが、いっそのこと起業して会社から独立したいという思いが強かったのです。
起業ブーム
その頃はまだインターネットビジネスが黎明期で、アイデアさえあれば簡単にビジネスを始めることができました。
ちょうど1円起業が可能になるような時期と重なっていたこともあり、自分も何かやってみようという気になっていたのです。
「週末起業」という本がベストセラーになったのもこの時期です。私もこの本に感化され、週末起業のセミナーに参加したこともあります。その頃はまだセミナー参加人数も多くなく、開催場所は居酒屋で十人程度でした。今は随分組織が大きくなってしまって、当時とは隔世の感がありますね。
このように世の中にちょっとした「起業ブーム」が湧き上がっていたので、自分の中でも起業したい意欲が盛り上がってきました。
会社に勤めながら始めるならリスクも少ないだろうと思い、HTMLが書ける知識もあったのでインターネットを使って自分でビジネスを始めてみることにしました。
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副業でネットビジネスを始める
始めたのは、インディーズバンドを支援するインターネットサイトです。事業の詳しい内容はこちらの記事で書いています。→ 40代で会社辞めて起業して1年で失敗した話、聞きたい?
競合も多くありませんでしたので、始めた最初のうちはアクセスが集まりバンドや作品を載せてほしいという人が列を作ったほどです。
好調は最初の数ヶ月だけで、その後は鳴かず飛ばずになりました。売上は月千円あるかないかぐらいでしばらく推移していました。
会社が忙しくなり更新が滞る→売上ゼロ
そこまでは良かったのですが、会社の仕事がだんだん忙しくなるとサイトの更新まで手が回らなくなり、アクセスが落ちてきて、売上もほとんどゼロになってしまいました。
会社が忙しい→更新できない→サービス悪化→客離れ→売上ゼロという構図です。
今から考えると、客離れした主な要因は、この時期に大手資本運営サイトが多数参入してきたから。個人のしょぼいデザインのサイトよりも大手のサイトの方が良いに決まっています。乱立する個人サイトから大手資本のサイトへ業界の構図が変わってしまっていたのです。
その当時うっすらとそのことには気づいていましたが、事実に目を向けることが怖くてちゃんと考えていませんでした。
むしろこの構図を抜け出すためにはサイト更新時間の確保が不可欠と考え、きちんと更新さえできれば売上回復できるのに、という思いが募りました。
そのうちにだんだん会社に時間を取られているという意識が強くなり、会社にいる時間が無駄のように思えてきました。
いっそのこと会社を辞めて専業となれば、思う存分サイト更新にあてることができて、アクセスも回復させることができるのでは、と考えるようになっていきました。
このあたりから理想の自分と現実の自分とのギャップが大きくなり、早朝覚醒、抑うつ、出社拒否といったメンタル面での症状がでてきました。
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ダメ元で退職→やっぱりダメ
妻とも相談し「やらないで後悔するより、やって後悔した方が良い」と退職を決意しました。
それでも実際に会社を退職するまでには紆余曲折あってかなり悩みましたが、最終的にすべての問題がクリアになり退職までこぎつけました。
この時点でサイトの売上はゼロでした。しかも大手資本経営のサイトが参入していて、当時とは業界がガラッと変わってしまっていたのです。
それでも真面目にサイトを更新してアクセスが回復さえしてくれれば、アイデア次第でまだまだ成長の余地があると思っていたのです。
とはいってもこちらはたったひとり。資金もほんのちょっと。相手は億を超える資金と無尽蔵の人手。
まるで蟻が象に戦いを挑むような心境でした。
退職して丸一年。知恵を絞り、やれることはすべてやり尽くしました。それでも成果は上がらず、鳴かず飛ばずのままそのサイトを廃止することにしました。
副業は保険と考える
私が会社にいた頃夢に描いていた退職シナリオは、副業で成功して退職というものです。
会社員でいるうちから自分でビジネスを始めて、それがうまく軌道にのって独立、さらに事業が成長すれば人生勝ち組だ!と思っていました。
でもそれはあえなく挫折。今は少し残った貯金が主要な生活源となっています。
副業というと会社を辞める必要がないので、リスクを抑えられるというイメージがあります。それでも私のような例もありますので、副業といえどもビジネスの一端ということは頭に置いておいた方が良いでしょう。
副業で始めたビジネスがうまくいかない場合は、私のようにビジネスのやり方そのものが間違っていることが多いものです。無理に成功させようと固執しない方が良いと思いました。
まあでも、副業でやっていたからこそ失敗してもそんなにダメージが無かったということも忘れてはいけないです。
これがもし退職後に始めたビジネスなら初期投資で借金していたかもしれません。そうなったら今頃は自己破産コースでしょう。
やっぱり最初は小さい資本で始めるに越したことはないということですね。儲かってから徐々にリスクを大きくしていけば良いということでしょう。
副業がうまくいかないなら、起業して専業でやってもうまくいく確率は少ないと思います。むしろ副業でやっているなら、撤退の決断も早い方が良いくらいだと思います。
「副業は退職後の保険だ」というくらいでちょうどいいのではないでしょうか。うまく行けばそれで良いし、失敗しても損害を少なくできるからです。
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